膀胱炎
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膀胱炎の症状
膀胱炎は、細菌が原因で膀胱内の粘膜に炎症を起こす病気です。
膀胱炎の患者様の男女比を見ると、圧倒的に女性が多くなっています。「一生のうちに膀胱炎を経験しない女性はいない」といわれるほど女性はかかりやすく、また、何度となく再発を繰り返している人も少なくありません。
特徴的な症状としては、以下のようなものがあります。- 排尿時に痛む (排尿痛)
- 頻繁にトイレに行く (頻尿)
- 尿が濁っている (混濁尿)
- 尿が残った感じがする (残尿感)
- 尿に血が混じる (血尿)
- 下腹部が重くすっきりしない (下腹部不快感)
- 尿が漏れる (尿失禁)
膀胱炎では熱は出ませんが、急性腎盂腎炎に進展した場合は、悪寒戦慄とともに39℃以上の発熱、片側の側腹部痛、側腹部叩打痛(叩くと響くような痛み)が起こります。早急に治療しなければ、敗血症になる場合があるので、必ず医療機関を受診してください。
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膀胱炎の原因
膀胱炎は、背後に原因となる病気があって起こる「慢性膀胱炎」がありますが、これは比較的高齢の男性に多く、前立腺肥大症、尿路結石、尿路にできた腫瘍などが原因になります。
しかし、女性の膀胱炎の大部分は、原因となる病気が特にない「急性単純性膀胱炎」で、尿道から侵入する大腸菌などの細菌に感染することで起こります。
10歳代後半から更年期以降まで幅広い年齢層で発症しますが、20代から30代の生殖活動期の女性に多いのが特徴です。
膀胱炎が女性に多いのは、女性特有の身体の構造が深くかかわっています。
女性の尿道は長さが3~4cmと短く、男性の5分の1程度しかありません。そのため、尿道口についた細菌が容易に膀胱まで達してしまいます。
しかも、尿道口が腟と肛門のすぐ近くにあるため、排便や性交渉などによって、尿道口から細菌が侵入しやすいからです。
そのほか、過労、睡眠不足、風邪など身体の抵抗力が落ちているときにも起こりやすいので注意が必要です。 -
膀胱炎の診断
診断は、問診のあと、まず「尿検査」が行われます。尿を顕微鏡で調べ、400倍に拡大し、1視野に5個以上の白血球や多数の細菌が見つかれば、膀胱炎と診断されます。
さらに原因となっている細菌の種類を調べるために「尿細菌培養検査」および細菌に対してどの薬が効くか「薬剤感受性検査」を行います。 -
当院の治療法
治療には、原因菌に適した抗生物質あるいは抗菌剤が用いられます。通常、2、3日服用すれば症状は改善されますが、この段階ではまだ膀胱内の細菌は完全に死滅していないので、医師の指示通り薬を飲み続けなければいけません。その後、再び尿検査を行い、完全に尿から細菌や白血球が消えたことを確認してから、治療が終了します。
症状がなくなったからと、自己判断で薬をやめてしまう人が多く見られますが、再発の原因になりますので、きちんと薬を飲んでください。 -
治療中に気をつけること
膀胱炎は安静を保たなければいけないほどの重い病気ではありませんが、治療中はあまり無理をしないようにしてください。
治療効果をあげるために、十分な水分の摂取をおすすめします。水分を多めにとって尿量を増やすことにより、膀胱内の細菌を洗い流します。細菌が膀胱内に停滞する時間が短くなるので、菌の繁殖が防げます。
このほか、炎症の悪化を防ぐために、飲酒、刺激物の摂取、性交渉を控えることも大切です。 -
<膀胱炎の治療中、または再発防止のためにご注意いただきたいこと>
膀胱炎の予防には、膀胱に細菌を侵入させない、膀胱内で細菌を繁殖させないことが重要です。
再発予防について、生活の中で注意していただきたい点をまとめます。
まず、膀胱で細菌を増やさないために、- 水分を多めにとる習慣
- 過労、冷えに注意
- 排尿を我慢しすぎないこと
- 細菌を侵入させないために排便後のペーパーは前から後に拭く
- シャワー式トイレを正しく使用する
- 生理期間中は清潔にする
- 交渉直後に排尿する
- 便通を整える
以上の点にちょっと気を払っていただくことで憂鬱な膀胱炎を予防できるでしょう。
膀胱がん
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膀胱がんの症状
膀胱がんの症状には、血尿や排尿の際に痛みが出ることや、頻尿や残尿感などがあります。血尿は誰が見てもわかる真っ赤な状態だけでなく、顕微鏡で見なければ確認できない程度の場合もあるので、検査でわかることも少なくありません。また、血尿が出ても痛みが伴わない症例もありますし、血尿は出ないものの排尿時の痛みで来院して発見される場合もあります。
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膀胱がんの原因
膀胱がんの原因として代表的なのは喫煙の有無です。膀胱がんを発症する人の中で、男性であれば半数以上、女性の場合は3割程度が喫煙に起因して膀胱がんを発症しているという報告もあります。
また、職業的に織物や色素、皮革やゴム類を扱う人、ベンチジンやナフチラミンなどの化学物質を扱うことが多い人も発症リスクが高いといわれています。
過活動膀胱
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過活動膀胱の症状
過活動膀胱とは以下のような症状を示す疾患です。
- 急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できない(尿意切迫感)
- トイレが近い(頻尿)、夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
- 急に尿をしたくなり、トイレまで我慢できずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)
そして、過活動膀胱には脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものとそれ以外の原因である「非神経因性」のものがあります。
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神経因性の場合
- 脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害
- パーキンソン病などの脳の障害
- 脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害の後遺症
これらの障害により、脳と膀胱の信号のやり取りが正常に働かなくなり、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても尿を出そうとしたり、「締める」「緩める」の連携がうまくはたらかなかったりして、過活動膀胱の症状がでます。
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非神経因性の場合
- 前立腺肥大症が関連している場合
⇒前立腺肥大症のある人の約50~75%が過活動膀胱の症状があるといわれています。(前立腺肥大症の詳細はコチラ) - 骨盤底筋の機能低下の場合
⇒膀胱・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりするために排尿のメカニズムがうまくいかなくなるために起こるといわれています。特に女性の場合は加齢や出産によって、骨盤底筋の機能が低下しやすいと言われております。 - 上記以外の原因
⇒何らかの原因により膀胱の神経が過敏になる場合や原因がわからない場合もあります。
- 前立腺肥大症が関連している場合
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当院の治療法
過活動膀胱は原因が様々であり、原因から治療しなければなりません。そのため、ご自身で勝手に判断されるのではなく、泌尿器科を受診してください。
治療は抗コリン剤やβ3受容体刺激剤による薬物療法が一般的ですが、行動療法や電気刺激療法を行う場合もあります。