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尿の症状

血尿

  • 血尿の症状

    血尿は腎・尿路疾患の重要な症候の一つです。
    その原因は非常に多く、患者様の訴え、年齢、性別、既往歴、診察所見をもとに検査がすすめられます。
    血尿には、眼で見て分かる肉眼的血尿と顕微鏡で見て分かる顕微鏡的血尿があります。
    また、出血の部位により内科的血尿と泌尿器科的血尿に分けられます。
    さらに、排尿痛などの症状を伴う症候性血尿と症状を伴わない無症候性血尿に分けられます。

  • 内科的血尿

    腎臓の糸球体(尿を作るところ)に原因がある血尿で、一般的には両側の腎臓に病変があります。頻度として多いのは、糸球体腎炎、IgA腎症などです。

  • 泌尿器科的血尿

    腎盂・尿管・膀胱など尿路(尿の通過路)に原因が血尿で、両側の腎盂・尿管に病変が起こる場合もありますが、一般的には片側に起こります。頻度が多い疾患は、結石、腫瘍、感染症、外傷などです。

  • 顕微鏡的血尿

    尿沈渣において、顕微鏡で400倍に拡大し、1視野に赤血球が5個以上認られるときに顕微鏡的血尿といいます。

  • 肉眼的血尿

    正常の尿は無色透明あるいは黄色ですが、尿に血液が混ざり、薄いピンク色から血液そのものまでいろいろな程度の血尿があります。
    しかし、赤色や褐色尿でも血尿でない場合があります。水分摂取が少ないときの濃縮尿、薬剤内服による変化、筋肉融解に伴うミオグロビン尿でも尿の色調が褐色や赤色に見えることがあります。

  • 症候性血尿

    排尿時痛など症状を伴う症候性血尿では、膀胱や前立腺などの下部尿路感染症、発熱を伴う場合には急性腎盂腎炎や急性前立腺炎などによって起こります。また、突然、背部痛、側腹部の疼痛や仙痛発作を伴う場合は、多くは尿路結石症(腎結石・尿管結石・膀胱結石など)によって起こります。

  • 無症候性血尿の検査

    検査は原則として、患者様に負担のかからない非侵襲性の検査から順に行います。

    • 1

      検尿

    • 2

      尿細胞診検査

    • 3

      血液検査

    • 4

      超音波検査(エコー)

    • 5

      腹部単純X線写真(KUB)

    • 6

      排泄性尿路造影(DIP)

    • 7

      膀胱鏡検査

    肉眼的血尿をきたした患者様に、上記のような一連の検査を行っても、原因がわからないことがあります。原因がわからないまま肉眼的血尿が自然に消失する場合がありますが、再び肉眼的血尿がでたときには必ず受診するように指導しています。
    また、無症候性の顕微鏡的血尿は長期間にわたって持続することがあります。
    3ヶ月毎の外来受診での検尿をおすすめしています。

頻尿・多尿

  • 頻尿・多尿の症状

    頻尿は、「尿が近い」、「オシッコ(尿)の回数が多い」という症状です。頻尿は、朝起きてから夜寝るまでの間にオシッコ(尿)の回数が8回以上の場合です。ただし、1日の排尿回数には個人差がありますので一概にはいえません。
    また、起きてトイレに行くという場合も頻尿ですが、特に就寝中に2回以上トイレに行く場合には治療の対象となります。しかし、就寝前に水分をたくさん取ったことによって、夜中にトイレに起きるという場合もありますので、就寝前の水分補給は程々にし、水分を取っていないにも関わらず夜中にトイレに起きるという場合には泌尿器科を受診されることをおすすめします。

    頻尿とよく間違われるのが「多尿」です。頻尿=多尿とは限りません。頻尿との違いは、1回の排尿量です。頻尿の場合、1回の尿量は少なく、1日の尿量(通常1リットル~2リットル程度)は正常範囲内です。しかし、多尿になると、水分補給量や発汗量にも影響されますが、1回の排尿量が多く、しかも、1日の尿量がおよそ3リットル以上の場合をいいます。
    多尿の場合、患者様自身が自覚されていないことが多いですので、就寝中に何度も排尿がある方はご相談ください。

  • 頻尿・多尿の原因

    頻尿の原因は様々で、残尿(排尿後、膀胱の中に尿が残っている)、多尿、尿路感染・(膀胱炎や前立腺炎など)、過活動膀胱、身体の冷え、コーヒーやお茶などの利尿作用が多いものをよく飲む、緊張やストレス、加齢によるものなど多くの原因があります。
    夜間頻尿の原因で最近よく見られるのは、水分の多量摂取によるものです。しかし、糖尿病では口渇(のどが渇く)により水分を多量に取り、頻尿、夜間頻尿になる場合があるので、注意が必要です。

  • 当院の治療法

    原因が水分を多く取っていることによるものであれば、水分摂取する量を調整することで改善することができます。しかし、頻尿も多尿も原因がいろいろあるため、原因を特定して適切な治療や対処を行っていく必要がありますので、泌尿器科を受診してください。

尿失禁

  • 尿失禁の症状

    尿失禁とは放尿の意思がないのに、尿が漏れてしまう状態です。尿道または膀胱の疾患による尿失禁は切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁に分けて説明することができます。
    切迫性尿失禁の場合、急激な尿意があって我慢できずに漏れてしまうことが多くなるので、日常生活を送る上で非常に困る場面が増えます。尿意が急激なうえにトイレに行きたくなる回数も増えるので、職業上困ることが多く、仕事に関連しなくても出かける際に支障が出ます。膀胱の収縮がコントロールできないことが影響しますが、原因を特定できない例もあります。
    腹圧性尿失禁は、動作によっておなかに圧がかかったときに尿漏れが起こるタイプです。スポーツや仕事で走ったり腹部に力を入れたりしたときにも起こりますが、咳やくしゃみなど運動に関連しない動作でも尿漏れがあります。女性に多く見られますが、男性では前立腺の手術をした後に出ることがあります。

  • 尿失禁の原因

    切迫性尿失禁は、膀胱の活動が過剰になって起こります。膀胱に尿がたまった際に通常には見られない膀胱の収縮が起こるので、急激に激しい尿意を感じます。尿意が急なだけでなく、トイレに行くまで耐えられないことが増えるので、日常生活に支障をきたします。原因不明な例もありますが、脊髄の障害や脳卒中などの中枢神経の疾患による場合や、前立腺肥大症の合併症として現れることもあります。
    腹圧性尿失禁は、尿道を閉める役割を持つ外尿道括約筋の機能が低下したことで、尿漏れが起こりやすくなって発生します。そのため尿意を感じることはなく、重いものを持ち上げようとしたときや、ジャンプしたときなど、故意の動作で腹圧が上がった際に尿漏れを起こします。また、咳やくしゃみなど故意の動作でなくても腹圧が上がれば尿漏れが起こることもあります。女性の場合、加齢のほか、妊娠・出産、肥満も原因となります。男性は前立腺に関連する手術後に見られます。

尿路結石

  • 尿路結石の症状

    通常、腎臓内に結石がある場合には痛みを感じません。しかし、結石が腎臓外に出て尿路など存在する場所によって、症状が異なってきます。また、場所に関わらず表れる症状が3つあります。

    • 1

      尿に血が混じる
      腎臓でできた結石が尿管、膀胱や尿道に結石が入り、壁(粘膜)を傷つけることで出血し、血尿がでます。痛みがなく血尿がでたことで受診された患者様に結石が見つかることもあります。

    • 2

      尿ににごりがある・発熱
      結石がある場合、細菌やウイルスによる感染が起こり尿が濁ることがあります。排尿した際や尿検査をした際に白く濁っている場合は、尿に多数の白血球が混ざった膿尿の可能性があります。また、細菌感染により急性腎盂腎炎になることがあり、悪寒戦慄を伴った発熱や敗血症に至る場合があるので注意が必要です。

    • 3

      背中の左右脇腹に痛みを感じる
      尿管に結石が移動した場合、結石が尿管に詰まり、尿の流れを妨げます。これにより急激に腎臓が腫れ、腎臓を包んでいる腎被膜が引き伸ばされることにより背中や脇腹に激しい痛み(腎疝痛)を生じます。また、嘔吐を伴うことがあります。

  • 尿路結石による痛みの特徴

    突然起きる激しい痛み

    尿路結石を経験した患者様の多くは、痛みが激しすぎるため、苦悶し、「七転八倒(しちてんばっとう)」するような痛みと表現することがあります。例えば、「今朝の何時に痛みが起きた。」とはっきり覚えている程、激しい痛みが襲ってくるのが特徴です。

  • 鈍痛

    結石があるものの完全に尿管を塞いでいない場合、結石と尿管の隙間から尿が少しずつ流れます。しかし、尿がスムーズに流れないため腎臓はゆっくりと腫れていきます。この場合、激しい痛みが突然くることはなく、腰あたりに鈍い痛みを感じるようになります。

  • 関連痛と放散痛

    尿管に結石が急に詰まることで痛みが生じます。結石のある場所に近い背中や腹部に痛みを感じる関連痛と結石の位置から離れたそけい部や大腿部に痛みを感じる放散痛があります。

  • 症状が出にくい膀胱結石にご注意を

    尿管に結石が急に詰まることで痛みが生じます。結石のある場所に近い背中や腹部に痛みを感じる関連痛と結石の位置から離れたそけい部や大腿部に痛みを感じる放散痛があります。

  • 尿路結石の検査方法

    尿路結石は症状から予測できますが、適切な診断を行うために検査を行います。

    • 1

      尿検査
      尿検査では、血尿の有無を調べます。

    • 2

      超音波検査
      超音波検査は、腎臓の様子を超音波により画像化して観察する方法です。腎臓の超音波検査では、結石の存在、結石の位置や大きさを観察します。腎臓に近い尿管の結石の場合は超音波検査で描出できますが、一般に尿管結石は描出できません。しかし、尿管閉塞により腎臓が腫れている場合には、水腎症として描出されるので、尿管結石の可能性を疑います。

    • 3

      レントゲン検査
      腎臓、尿管や膀胱をレントゲン撮影(単純撮影)し、結石の有無、結石の位置や大きさを確認します。さらに、ヨード造影剤を点滴し尿路を造影(排泄性尿路造影)します。排泄性尿路造影では、腎臓の機能(排泄性)、尿路の通過性(結石や腫瘍の存在)や陰影欠損の有無(結石や腫瘍の存在)について調べます。

  • 当院の治療法

    できた結石の大きさや結石がある場所によって治療法は変わってきます。
    およそ1センチ以下の大きさであれば、排石促進剤と鎮痛剤で痛みを和らげながら自然排出するまで様子を見ます。これを薬物療法といいます。これに加え、水をできるだけたくさん飲んでもらい、尿量を増やし、排石を促進します。

    結石の大きさが1センチ以上の場合には、自然に排出される可能性はほとんどないので、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)という治療を行います。漢字をご覧になるとおわかりになるかもしれませんが、身体と外から衝撃波を結石に向けて当て結石を砕いてしまうという方法です。1回であまり効果がない場合には、複数回実施することで効果を得ることができます。

    その他、内視鏡手術がありますが、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)と併用することもあります。

    • 1

      腎臓結石では、背中から腎臓まで内視鏡を通し、超音波やレーザーを使用して粉砕して摘出します。

    • 2

      尿管結石では、尿道から細い内視鏡(尿管鏡)を尿管に挿入し、尿管結石が小さいものであれば鉗子により取り出すことができます。結石が大きければ、超音波で粉砕し、破砕片をバスケットカテーテルや鉗子を用いて摘出します。

    • 3

      膀胱結石では、尿道から内視鏡を膀胱に挿入し、結石を粉砕する装置で小さく砕いて取り出します。

尿路感染症

  • 尿路感染症の症状

    切迫性尿失禁は、膀胱の活動が過剰になって起こります。膀胱に尿がたまった際に通常には見られない膀胱の収縮が起こるので、急激に激しい尿意を感じます。尿意が急なだけでなく、トイレに行くまで耐えられないことが増えるので、日常生活に支障をきたします。原因不明な例もありますが、脊髄の障害や脳卒中などの中枢神経の疾患による場合や、前立腺肥大症の合併症として現れることもあります。
    腹圧性尿失禁は、尿道を閉める役割を持つ外尿道括約筋の機能が低下したことで、尿漏れが起こりやすくなって発生します。そのため尿意を感じることはなく、重いものを持ち上げようとしたときや、ジャンプしたときなど、故意の動作で腹圧が上がった際に尿漏れを起こします。また、咳やくしゃみなど故意の動作でなくても腹圧が上がれば尿漏れが起こることもあります。女性の場合、加齢のほか、妊娠・出産、肥満も原因となります。男性は前立腺に関連する手術後に見られます。

  • 尿路感染症の原因

    尿路感染はおしっこの出口である尿道口から細菌が侵入することで起こります。女の子は男の子に比べて尿道が短いので、尿路感染症にかかりやすいことが知られています。膀胱内でのみ感染と炎症が起こる場合は膀胱炎、膀胱より内部に感染が起こった場合は腎盂腎炎のリスクがあります。
    検査としては尿に細菌が含まれているかどうかを確認します。